片頭痛について
片頭痛の有病率は日本では約8.4%(840万人)と言われ、決して珍しい病気ではありません。発症が早い方では小学生の頃から頭痛を自覚するようになります。片頭痛の痛みは強く、日常生活に支障をきたしたり、寝込んでしまうほどつらいものです。嘔気や嘔吐を伴うこともあり、学校や会社を休まなくてはならなくなることもしばしばあります。痛いだけでもつらいのに、学業や仕事にも影響して患者様にとって強いストレスとなります。
片頭痛は遺伝する傾向が強く、母親から娘さんに引き継がれることが多いです。片頭痛は文字通りに頭の片側に起こるとは限らず、全体が痛むこともあります。ズキンズキンといった血管の拍動性の痛みです。
片頭痛が起こる前に、肩こりや倦怠感、あくびなどの症状(予兆)や、閃輝暗点といわれる視野異常(視野がキラキラしたり、ギザギザしたものが見える)、手足のピリピリとした感覚障害などの前兆と言われる症状が出ることがあります。また、発作は痛みよりはめまいやふらつき感が前面に出ることもあります(片頭痛関連性めまい、前庭性片頭痛)。
片頭痛の患者様は、乗り物酔いしやすく、光や音、臭いに敏感になります。朝から痛いことも多く、動いたりすると痛みが増強して横になって安静にする必要があります。
ストレスや体調不良、睡眠不足・過多、飲酒(特に赤ワイン)、チョコレートやチーズの食べすぎ、空腹、悪天候や気圧の変化、まぶしさ、人混みなどで片頭痛が誘発されます。逆にストレスから開放されたときや、緊張が解かれる週末に起こることもあります。女性の場合は月経と関連して起こることもあります。
片頭痛を治りにくくさせる因子として、慢性的なストレス、肥満、いびきや睡眠時無呼吸、うつや不安症の共存などが挙げられます。
片頭痛の患者様は、どうしても痛いときに鎮痛剤を服用することとなり、鎮痛剤の多用により薬物乱用性頭痛を合併していることが多く見られます。鎮痛剤の多用により、脳がさらに痛みに対して過敏になり片頭痛を悪化させることになります。このような場合は、片頭痛に対する予防的投薬療法により鎮痛剤の乱用を防止する必要があります。
片頭痛の治療について
当院の頭痛外来では片頭痛・頭痛に対して下記の治療を行っております。
①薬物療法
片頭痛の痛みは市販されている鎮痛剤では効かない場合もあります。現在トリプタン製剤といわれるお薬が最も効果があります。日本では5種類のトリプタン製剤がありますが、患者様に合ったお薬を処方します。
頭痛の回数が多く、嘔吐などを伴うほどの痛みが強い場合、日常生活に支障をきたしているとき、鎮痛剤の乱用に陥っている場合は、予防的投薬療法を行います。投薬は日本神経学会・日本頭痛学会が作成した慢性頭痛の診療ガイドラインに則って行われます。痛みに対する過敏性を抑えるお薬や血管に作用するお薬が主に用いられます。これらのお薬を使うことで頭痛の頻度が減少し、痛みの程度も軽くなります。
頭痛外来では片頭痛に対して、積極的に予防的投薬療法を行い、患者様の頭痛の軽減を図り、快適な毎日を過ごせるよう努めています。
②運動療法
頭痛外来では薬物療法だけでなく、頭痛体操も指導しています。自宅や職場・学校でも行える簡単な体操です。主に首の後ろの筋肉(後頚筋)や肩から肩甲骨の内側の筋肉(僧帽筋)のこりをほぐすのが目的です。
頭痛体操を習慣化することにより、頭痛の改善が得られお薬の量も減量しやすくなります。その他、有酸素運動も効果的と言われています。
武蔵野市、吉祥寺周辺で
頭痛やめまい・ふらつきでお悩みの方は、
頭痛外来にお気軽にご相談ください。
当院での頭痛外来の流れ
- 電話にて受診予約をお願いいたします。
- 初回受診の際、初めに頭痛の問診表にご記入をお願いします。
- 診察・神経学的検査
- 頭部CT、心電図、採血などの検査を行います。
- 検査結果の説明及び治療方針、処方するお薬の説明を行わせていただきます。
診療終了までにおおよそ40~50分程度かかります。
(万一頭部CTで異常が発見された場合には武蔵野日赤病院をご紹介させていただくこともあります。)
*来院時に強い片頭痛発作がある場合には、トリプタン製剤の注射や点滴を行うことがあります。この場合には診療にかかる時間が長くなります。